細部へのこだわり ピンク×グレーは永遠の乙女心
まだ空を飛ぶことのできなかった時代、海の向こうからもたらされた異文化に、
心弾まぬ人はいなかったのではないでしょうか。
ヨーロッパで東洋趣味、シノワズリが流行しはじめたのは17世紀です。
中国の景徳鎮や日本の伊万里焼がもてはやされ、陶磁器や壁紙の図柄が
さまざまに模倣され、とりいれられました。
日本の茶人もまた、舶来のインド更紗の鮮やかさに胸ときめかせ、
大切な道具を包む布に用いたり、図案をとりいれたりしました。
さまざまな異文化のまじりあいは、新しい文化を生みます。
茶籠は、そうしたとりあわせを楽しむことができる、小さな世界。
この茶籠は、シノワズリ茶碗を中心に、異なる文化を織り交ぜてとりあわせた茶籠です。
モダンながらも心弾む色合いは、ピンクとグレーの組み合わせ。
シノワズリ茶碗に描かれているのは、山盛りのざくろや桃、花や中国茶器。
イタリア・ジノリ製の白磁茶碗に、安部直子さんが絵付けをした茶碗です。
ジノリ社に許可を得て実現しました。
茶器袋と茶杓袋は、アンティークのインド更紗で、型押しと手描きで仕上げた「茜地草花文更紗」。
シノワズリ茶碗に合わせて布をえらび、仕立てました。
茶筅筒袋と茶巾箱袋は、外布が光沢のあるピンクに、内布は厚みのあるペイズリー柄。
こちらもシノワズリ茶碗と呼応するとりあわせ。ペイズリー柄の起源は諸説ありますが、
東洋への憧れからできた紋様のひとつと言われています。
銀彩の茶杓や、白銅の建水や茶筅筒など、シルバーとグレーの道具が茶碗を引き立てます。
なにかに初めて出会ったときのときめきを、繊細に編まれたタイの竹細工「千歳」籠につめこんで。
嘉門工芸の茶籠・茶箱
小さな箱や籠に小さな茶道具を詰めて持ち運び、野点を楽しむ茶箱や茶籠の文化は、千利休が始めたといわれます。ひとつひとつ道具を選りすぐり、取り合わせ、箱や籠にきっちりと収める。そこには日本古来の重ねの美学も表現されています。嘉門工藝では、その長い歴史に畏敬の念を抱きつつ、めまぐるしく過ぎていく今の時代にこそお茶の時間を持っていただきたいと願い、茶籠・茶箱を企画しています。
茶籠や茶箱を構成する道具のひとつひとつは、まさにアートピース。現代の用の美を備え、持っていて嬉しく、使いやすさも魅力の品々が揃っています。茶碗は現代の作家ものが中心。他の道具類も、たくさんの熟練の職人にご協力いただいて作ったオリジナルがほとんどです。また、漆芸家村瀬治兵衛がデザイン・監修して製作した、茶器・建水・茶筅筒・茶巾筒は、他にはないと人気の商品。道具と袋物類の取り合わせも好評をいただいております。
リビングの棚に茶籠や茶箱があれば、さっと取り出して抹茶を点てられます。茶葉が残らない抹茶は、キャンプなどアウトドアにもぴったり。いつでも、どこでも、ひとりでも、どなたかとでも。気軽にアートとお茶を楽しんでいただけたら幸いです。